中華カーボンのシートポストやフォークコラムをカットするためにソーガイドを買いました。
昔に比べ、こういう専門工具が格段に安く買えるようになったのは、自転車ブームのおかげでしょうか。
それと、台湾メーカーの台頭もあることでしょう。
BIKE HAND (バイクハンド) BH-YC-112LW エアロ形状対応 ソーガイド
GIZA PRODUCTS(ギザプロダクツ) ソーガイダー ブルーチェック
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仕上がり

さっそく、新しく買ったソーガイドと金ノコを使って正攻法でフォークコラムを切ろうとしたんですが、すんげええええ時間かかります。
しかも思ったほど断面が綺麗になりませんでした。(→※理由を考察)
金ノコは目が細かいので、粉塵が上手く排出されずに切れ味を悪くしているような感じです。
金ノコで木材を切ろうとすると、飛んでもなく時間がかかってぜんぜん切れませんが、それによく似た手応えです。
カーボンは金属と違って繊維の方向がありますので、切削油などを使用すると断面から染みこんでしまいます。後の工程を考えるとこれは望ましくない。
木材も切削しづらいからと言って潤滑スプレーなどを工具に吹くと、その時はいいんですが、後で繊維に染みこんだ潤滑剤のせいで塗料を弾き面倒なことになったりしますが、カーボンって金属よりもむしろ木材に近い気がします。

カーボン専用の刃を使うという泥縄な手もあるんですが、ここはひとつ、ソーガイドと金ノコにこだわらず、普通の木工用ノコギリで墨線に沿ってフリーハンドで切ってみることにしました。
木材に近い切れ味の材料なら、その方が簡単かつ綺麗に切れることが想像できます。
ここで問題なのは、木工用のノコギリ(ゼットソーなど)の替え刃がカーボンに耐えられるかですが、これは試してみないことには分かりません。
新品の刃はもったいないので、使い古しを使って切ってみました。
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切り終えた直後。
左上(時計の10時方向)あたりが最初に金ノコが入った部分。
断面がややガタガタしている。
途中で諦めてゼットソーでサクサク。
ちなみに11時方向のカーボン層の間に鬆(す)が入っているのが見える。
(1枚目の写真にはっきり写っている)
ポスト自体の厚みが一定ではなく、内面の仕上がりも雑な感じ。
中華クオリティー?

切れ味ですが、硬質の木材を切るような感覚で切れました。印象としては黒檀よりやや柔らかく切りやすいかな、といった感じ。
木材を手ノコで切るとき、特に柔らかい杉などで顕著ですが、木目の硬軟の差があるため、慣れないと切り口が荒れたりしがちです。
でもカーボンは木材よりも遥かに均質な材料なので、一定の力加減でジワジワと切り進んでいくことができました。
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100均で買ったパイプカッター(なぜか400円だった)で墨付けをする。
はじめ普通に金属管を切るときのような感覚で刃を出して墨付けしようとした。
ところが刃先の食いつきが悪くて切り込み線がずれてしまう。
ちょっと出し過ぎってくらいに刃を出したらちょうどよかった。

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硬い材なのでノコ刃が滑るものの、まあまあ切りやすい。つーか金ノコよりは断然マシっす。

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ダイヤモンドヤスリで仕上がった断面(1枚目の写真)に、気休めの100均瞬間接着剤を塗布する。
ちなみに使ったのは粘性の低いさらさらタイプ。
繊維によく染みこんでデコボコにならないだろうという魂胆。

肝心のゼットソーの耐久性についてですが、長さ調整のために2回切ったところ、やはりカーボンは硬いらしく、2度目はやや切れ味が落ちているのを感じました。
この刃であと1回くらいは切れるでしょうか。使い古しじゃなく新品の刃だったらもっと何度も使えるでしょう。
使った替え刃の種類はゼットソー8寸目です。
265という替え刃だと目が荒すぎて切り込むとき暴れやすく、気を使うでしょう。
もし手元に木工用の替え刃式ノコギリがあるなら、替え刃の価格次第では試す価値がありそうです。

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使い古しのゼットソー8寸目
幅広のマスキングテープを貼ってたのを剥がした跡があります。



(※)
これはなぜかというと、ソーガイドのガイド溝はノコ刃の厚さよりもずっと幅が広いので、刃が遊んでしまうからだと思われます。
ソーガイドは何のためにあるのかというと、精度良く仕上げるためではなく、必要な部分にまで刃が切り込んでしまうのを防止するためにあるのだと思います。
そもそも、金ノコは一度の切削で切り降ろす量が少なく、鋼材を切断するためにストローク数が多くなります。
金ノコの刃は高さが低くかつ、剛性があるので、ノコ刃が傾いたときノコ道に沿って撓んでくれませんし、相手は堅い材料ですから、ストロークの乱れが素直に切断面の乱れに現れます。
ソーガイド理想と現実

ただいくらストロークが乱れても、ソーガイドのおかげで切りすぎが防止できますので、安心して力を入れることはできます。